同じくマラウィからの手紙の一部。
でもこれはアフリカでも最も貧しい国での話で、
(いわゆるDarkest Africa − 暗黒のアフリカ)
ナミビアとは大違い!びびらないで下さいね。
ナミビアは、清潔で安全な国です。


ところで楽しい事件がありました。
名付けて「腸チフス騒動」!!
10日程前に同居人で友達のオドルフがマラリアにかかったの。
その2〜3日前から、どうも調子がおかしい、
マラリアかもしれない、って 言ってたんだけど、
ついに発病。
42度近い高熱と激しい頭痛、吐くやら眠れないやらで
けっこう心配だったのさ。
でもマラリアの薬も飲んだし(このマラリアの薬が一種の毒薬で
副作用が結構きついんだ。
あたしも別のやつを予防薬として2種類飲んでるけど
片方は髪が抜ける作用があって、もう一方は
視力に悪い影響を与えるって書いてあった。)

少しずつ快方にむかってほっとしたところ、
ある金曜の夜、再び発病。
発熱と針で刺すような鋭い頭痛。
ついに病院に行くことになりました。
マラウィの医療のひどさはすでに目にしていたので
ひそかに注射器を持参して(日本で買ったやつ)、
夜道をリロングウェ(ここのことよ。マラウィの首都)
で最も信用のおける有料の病院へと車を走らせたの。
こわかったわ。道は悪いし、
(もちろん街灯なんてありませーん)
暗くて、対向車はライトの位置を変えないから
(アフリカンマナー!!)目がくらむし、
オドルフは顔が灰色になっていくし、
ついにきたかアフリカにって感じ。

森の中みたいなとこに病院はあって、
オランダ人の医者が待ってました。
彼らはもちろん新しいパックしてある注射器をもってたし、
(検査のため採血するときもつい目を光らせてしまいました。
本当に新しい注射器を使っているかどうか。
なんせ住民3割エイズだもんね。)
検査の結果、オドルフはマラリアを持ってないことだけ
わかって、でも痛みはおさまらないのでその日は彼だけ
病院に留まることになりました。
(すごく苦しそうだったんでつい観察しちゃったわ。
これが本当に痛いときの顔かーって。
この性格は直らない。)


次の土曜の朝、彼を再び病院に迎えに行って、
とりあえず症状はおさまってたんで
家に帰ってきました。しかしその後
あたしとMartinがちょっと買い物に出てる間に
オドルフは何者かに病院に連れ戻されてしまったの。
一体何が起こったんだ!?と心配しながら
でもとりあえずランチの用意をして
食べながら待っていると、そのうち彼は帰ってきて
ランチを食べながら(けっこう回復!)言うのさ、
「どうもタイフォイドになったらしい。」
Martin 「タイフォイド?
それはすごくシリアスな病気だろ?」
病気という言葉に反応して聞きかえす私。
「何?タイフーン?何てつづるの?」
辞書をめくると「医」腸チフス。

ひえええええーーーーーーーーーーー
腸チフスって、腸チフスってすごくすごく危険な伝染病でしょ?
パニックになる私。
なんでも病院の検査の結果、
腸チフスの検査の一つが陽性とでたらしく、
病院からの電話でもう一度検査に連れ戻されたらしい。
はっきりしたことは2日後の月曜にわかるのだそうだ。

3人はおだやかにランチを済ませ、
オドルフは再びベッドルームに。
あたしは急いで「伝染病の知識」という
小さなパンフレットをめくる。
腸チフス。潜伏期間1〜2週間、
症状 −−発熱、倦怠感、悪心。
感染経路ーー水、食べ物。

ここしばらくオドルフのさわったものを
食べただろうか。もちろん。きりがない。
いつも昼は一緒にランチをとってるし、
夜は一緒にクッキングしている。
やばい。うつっている。死ぬかもしれない。
死ぬのはいいとしても確か異様に苦しいはず。
苦しむのはいやだ。思考は頭を駆けめぐる。
Martinは、とみるとジグソーパズル500ピースを
始めている。

何だかまあいいや、なんて気になってあたしも参加。
前にもこんなことあったなあ、そうだK君赤痢事件だ、
あたしってそういう星を背負ってるのね。
なんてもう諦めの境地に入ってしまいました。
本当に恐いことって結構おだやかに進んでいくのね。
結局2人でおだやかーに、その午後いっぱい
ジグソーパズルをして過ごしました。

しかし!!
夕方近くになって2人して異様に疲労感を覚えるのさ。
少し熱も出てきた気もするし、「悪心」はないけど
なんだかすごく疲れている。2人とも何も言わずに
腸チフスを覚悟しました。
で、もうしょーがないから 発病前に、
とにかく食べられるうちにしっかり栄養つけよって思って、
夕食の支度を始めると
けっこう元気になったオドルフ君(40、料理が超得意)
も参加。あたしたちはとびきり美味しいクリームシチューと
この国で一番美味しいブルーリボンのパンと
フルーツサラダでまたしても穏やかな夕べを過ごしました。
もうオーちゃん(オドルフ)の切ったパンも
サラダもバリバリ食べたわ。
で、ごはんが済んだら 何のことはない、
みんな元気なのよね。
なーんだ、
あの異様な倦怠感はお腹すいてたせいなのね。
きのうあんまし寝てないしさ、
と、すっかり愉快になってしまったわ。

そしてダラダラと週末は過ぎ、月曜になり、
オーちゃんは病院に行ったんだけど、
医者も結局何だかわからなかったんだって。
もしかしたら単なるマラリア薬の副作用だったのかも
しれないし、(マラリアの検査が陽性じゃなかったのは
薬が効いたあとだったのかもしれないし)
もしかしたら新種の病気かもしれないし、
腸チフスの可能性もまだ消えたわけじゃない。
これはここの病院が悪いんじゃなくて(悪いんだけど)
アフリカの病気は原因を探るのがすごく難しいんだって。
しょっちゅう新種の病気が出現するし、
要因は数え切れないほどあるし。

とにかくはっきりしないまま
「オーちゃん腸チフス騒動」は終わりを告げました。
少なくとも終わったと信じたいわ。
今のところ3人ともすごく元気です。
事件の後遺症といえば、
3人して蚊に異様に過敏になったことかしらね。
蚊の羽音がするたび、血眼になって追跡するし、
そこら中に蚊取り線香を配置してます。
Martinにいたっては、寝る前に素っ裸のまんま
片手に蚊取り線香を持って部屋中ベッドの下から
カーテンの隙間までチェックし、
蚊を発見するとゆっくりゆっくり蚊取り線香を近づけ、
煙で蚊が墜落すると
その蚊を蚊取り線香の炎でゆっくりあぶり殺し、
「ふっふっふっ」と暗い喜びにひたっています。


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