「チーフ・ンディンディ」

  アフリカのマラウィで仕事をしていたときに、チポカという村で撮った写真です。 アフリカの多くの国がそうなんだけど、行政というか政府に二つの形があって、 一つは西洋風の民主政府、でもう一つは伝統的なチーフ(族長)によって治められる 部族ごとの行政機関。で、写真の真ん中にいるのが、チーフ・ンディンディ。 村の人の尊敬を一身に集める、物静かな人でありました。
当時、私達の仕事に必要な土地が、チーフ・ンディンディの管轄内だったの。 そこで我々は通訳を一人引き連れて、チーフの許可を得るために出発。 ちょっと離れた村の奥にチーフのおうちはありました。
えーと、土地を使うためには土地の管理局と、チーフの両方の許可が必要なのね。 チーフの村は小さな村で、途中で10人ぐらいの人々が(男の人よ) 談笑しているのに出会いました。我々の通訳は、まずそこで立ち止まり、 そこにいた全ての人に「ジコモ、ジコモ」と挨拶し、握手をする。 そこで私達もそれぞれ10回握手をしました。私は「もしかして、この村では 出会う人ごとに挨拶しなきゃいけないんだろーか。」とひそかに恐れをなす。 握手ってあんまり好きじゃないんだもん。
後で聞くと、あのおっちゃん達は 村の裁判官みたいな偉い人達で、事件が起こるとこの人達が裁判を開く。 で採決するのだ。「マガニーゾがにわとりを盗んだ。よってマガニーゾは、 持ち主に100クワッチャ払わなきゃいけない」とかね。 どうみても普通のぼろぼろのおっちゃん達だったけど。 「ジコモ、ジコモ」というのは 通らせてもらいます、みたいな挨拶らしい。
さて、チーフ・ンディンディのうちは、やっぱりふつーの アフリカン・ハットでした。土の壁、枝の屋根。チーフは私達に牛の皮を 座布団に勧めてくれ、我々は土間に座る。そして通訳は話を進める。
チーフのとこには 他にもう一人男の人がいて、どうみても もう一人の方が 恰幅もいいし、服もまだしもまともだったんで、最初そっちがチーフかと 思ったら細っこい ぼろぼろなのがチーフだった。
チーフは時々何か質問したり、頷いたりする。まるで映画みたいだったわよ。 最初の開拓者がチーフにあいさつにきた、みたいな感じ。 チチェワ語は全然わかんないから 尚更ファンタスティック。 わからないので とにかく微笑みを絶やさない私。 どうやら話し合いは円満に終わる。チーフはオーケーを出したのだ。 私達は 何人か人を雇うことになるだろうし、それは 村にとって いいことだって。マーティンは 壊れた自転車なんかも直せるしね。
お礼に 次の時私達は砂糖5kgと(砂糖は貴重品。みんな大好きなのに (お茶には砂糖4〜5杯)配給制で、お店では買えないのだ。) 新しいシャツをプレゼントしました。
その後も何度か会ったけど、偉い人もかかわらず、大変丁寧な人で、 ほんとーに周りの人から尊敬されているのが、周りの人の握手の仕方や、 目つきなどでわかりました。アフリカン・ジェントルマンって感じ。 彼との出会いは、とても印象に残っています。


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